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中学生から知りたいパレスチナのこと(ミシマ社/岡真理、小山哲、藤原辰史)
¥1,980
『中学生から知りたいパレスチナのこと』 岡真理 (著) 小山哲 (著) 藤原辰史 (著) <以下、版元サイトより> この本から、始まる 新しい世界史=「生きるための世界史」 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。 アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話から はじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 *** 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 *** 地図作成:マップデザイン研究室 目次 はじめに(岡真理) Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」 「ユダヤ人のパレスチナ追放による離散」は史実にない/ジェノサイドが終わるだけでは不十分/ハマスの攻撃は脱植民地化を求める抵抗/イスラエル政府の発表をうのみにしてはいけない/ジェノサイドはいかなるシステムによって可能になったのか/人文学=ヒューマニティーズから考える/ガザを見たとき、日本は自国の植民地主義を想起できているか/壁一枚を隔て、安楽な生活を享受する者/「人種」はヨーロッパ植民地主義が「発明」したもの/シオニズム運動――反セム主義に対する反応/国家維持のためにホロコーストの記憶を利用する/近代学問に内包されるレイシズム 藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」 ナチズム研究者はナチズムと向き合いきれていない/ドイツとイスラエルをつなぐ「賠償」 /ふたつの歴史家論争/誰のための「記憶文化」か/ドイツは過去を克服した優等生なのか?/「アウシュヴィッツは唯一無二の悪だ」/奴隷制は終わっていない/経済の問題、労働の問題としてのナチズム Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える 小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」 ふたつの戦争のつながり/長い尺度で問題を捉える/ポーランド書店 E. ノイシュタイン/ウクライナ-ポーランド-イスラエルを結ぶ生涯/イスラエルをリードした東ヨーロッパ出身者/「国家なき民族」の国歌/シオニズム運動はドレフュス事件より前にはじまっていた/民族運動の母体となった地域/移住して国家を建設するという発想/日本も「外部」ではない/「敵は制度、味方はすべての人間」 藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」 私たちの食卓の延長にある暴力/投機マネーがもたらす飢餓/プーチンの農業政策は外交の武器/ウクライナの穀物を狙う米中/国際穀物都市オデーサ/飢餓計画を主導したヘルベルト・バッケ/ホロコーストの影に隠れる「入植と飢餓」/飢えてはならない人と、飢えてもいい人/イスラエルの食と水を通じた暴力/飢餓とは「低関心」による暴力 Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために 今の世界史は地域史の寄せ集め/「西」とはなんなのか?/ナチズムは近代西洋的価値観の結晶/「食を通じたイスラエルの暴力」に目が向かなかった反省/私たちの生活が奴隷制に支えられている/日本史、西洋史、東洋史という区分は帝国時代のもの/西洋史でパレスチナ研究をしたっていいはずなのに/ポーランドのマダガスカル計画/民族の悲哀を背負ったポーランドは、大国主義でもあった/イスラエル問題ではなく「パレスチナ問題」/イスラエルの暴力の起源は東欧に?/今のイスラエルのやり方は異常/押してはいけないボタン/核の時代の世界史/「反ユダヤ主義」という訳の誤り おわりに(小山哲) 本書成立の経緯(藤原辰史) ページ数 224 判型 四六判並製 装丁 寄藤文平+垣内晴(文平銀座) 著者プロフィール 岡真理 (著) 1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』『彼女の「正しい」名前とは何か』『棗椰子の木陰で』『アラブ、祈りとしての文学』『ガザに地下鉄が走る日』。 小山哲(著) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。主な著書・共編著に『中学生から知りたいウクライナのこと』『大学で学ぶ西洋史[近現代]』『人文学への接近法』。 藤原辰史(著) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。主な著書に『中学生から知りたいウクライナのこと』『縁食論』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』『分解の哲学』。
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中学生から知りたいウクライナのこと(ミシマ社/小山哲、藤原辰史)
¥1,760
『中学生から知りたいウクライナのこと』 小山哲 (著) 藤原辰史 (著) <以下、版元サイトより> 生きることの歴史、生きのびるための道。 黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック…地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。 「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。 二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊! MSLive! BOOKSシリーズ 「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ! ・ロシアが絶対に許されない理由…? ・西側諸国、日本が犯してきた罪…? ・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…? 【イベント参加者の声】 ・歴史を知ることで、ニュースの解像度が上がり、そこに暮らす人びとの顔が見えてくるような感覚をおぼえました。 ・軍事評論家や国際政治学者の解説ではなく、こういう話が聞きたかったです。 ・「国」と「人」をいっしょくたにせず、どのように平和を築いていくのか。自分の姿勢を問い直す貴重な機会でした。 【MSLive! BOOKSとは?】 ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。 「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。 目次 はじめに Ⅰ ウクライナの人びとに連帯する声明(自由と平和のための京大有志の会) Ⅱ ウクライナ侵攻について(藤原辰史) Ⅲ 講義 歴史学者と学ぶウクライナのこと 地域としてのウクライナの歴史(小山哲) 小国を見過ごすことのない歴史の学び方(藤原辰史) Ⅳ 対談 歴史学者と学ぶウクライナのこと(小山哲・藤原辰史) Ⅴ 中学生から知りたいウクライナのこと 今こそ構造的暴力を考える(藤原辰史) ウクライナの歴史をもっと知るための読書案内(小山哲) おわりに ページ数 208 判型 四六判並製 装丁 寄藤文平・古屋郁美(文平銀座) 著者プロフィール 小山哲(著) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原辰史(著) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。著書に『縁食論』(ミシマ社)、『トラクターの世界史』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』(河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(辻静雄食文化賞)、『分解の哲学』(サントリー学芸賞)など。