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それがやさしさじゃ困る(赤々舎/鳥羽和久(文)植本一子(写真))

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『それがやさしさじゃ困る』
赤々舎/鳥羽和久(文)植本一子(写真)

子どもが自分でつかむまで!

大人が「わかったふり」をやめると、対話がはじまる。焦らず、 断ち切らず、観察しつづけるための視点──。学び・進路・日常相談と一年の日記から、関係がほどける瞬間を見つめる教育エッセイ。


『それがやさしさじゃ困る』は、子どもに向けられる「善意」や「配慮」が、時に子どもの心を傷つけ、主体性を奪ってしまうという逆説を、教育現場の最前線で20年以上子どもと向き合ってきた著者・鳥羽和久さんが鋭く描き出す一冊です。「失敗させまい」「傷つけまい」という大人の”先回り”が、実は子どもの可能性を閉ざしてしまう──。本書では「学校」「親と子」「勉強」「受験」といったテーマを軸に、現代教育の盲点と私たち大人が抱える不安の影を浮かび上がらせます。単なる批判にとどまらず、大人の葛藤や弱さへの眼差しがこめられているからこそ、その言葉は深く胸に響きます。

さらに本書を特別なものにしているのは、ページ下部に並走する一年間の日記の存在です。そこには、卒業生との忘れられない一瞬や、親子の関わりの奥に潜む無自覚な”デリカシーのなさ”への気づきなど、教育の現場で生まれた生の思索が断片的に綴られています。論として伝えられるエッセイと、濾過されない日々の記録が呼応し合い、本書は単なる教育論を超えた、立体的で豊かな手触りを届けてくれます。

解決策を提示する本ではありません。むしろ「間違うこと」「揺れ動くこと」を恐れず、子どもを信じて共に歩むことの大切さを、本書は静かに指し示しています。大人として迷い続ける私たちに寄り添い、伴走してくれる一冊です。

そして本書には、写真家・植本一子さんが鳥羽さんの教室やその周辺で撮り下ろした写真が栞のように差し挟まれています。子どもたちの表情や存在は、エッセイや日記で綴られる思索に呼応し、本書を照らし、「いま、ここ」の空気を手渡してくれるでしょう。

“《人生を楽しむコツは「よいこと」を大切に後まで取っておかないこと。出合ったときにつかまえること。》大人はこの瞬間を見逃さないようにだけ腐心していればよい。教育のなかに、ありもしなかった自分の黄金時代を託し、子どもらの現在を嘆くのは、子どもの芽を摘むだけ。教育のほとんどの問題は、バランスを崩した大人たちの不安から生まれる。子どもに過剰な配慮をするより、ダラしない自分を晒し、こんなのでも生きていけると見せるほうがうんといい。”

鷲田清一(哲学者)帯文より
各メディアにて紹介! 6刷出来! 読まれつづけて、2万部です!

2025 10/6 朝日新聞「折々のことば」(鷲田清一さん)
2025 10/18 毎日新聞「今週の本棚」(鈴木成一さん)
2025 10/25 NHK ラジオ深夜便「本の国から」(辻山良雄さん)
2025 11/14 西日本新聞 インタビュー記事掲載

2026 2/4 考える人WEB 鳥羽和久 × ジェーン・スー対談記事掲載
2026 3/24 AERA インタビュー記事掲載
2026 3/25 北海道新聞 インタビュー記事掲載

Book Design:根本匠
発行:赤々舎
Size:H195mm x W148mm
Page:232 pages
Binding:Softcover
Published in September 2025
ISBN:978-4-86541-210-9
(版元サイトより)

父親と母親に「育て方を間違えた」と言われたことがある。

それは、電車の乗り降りのマナーについて話していたときのこと。「降りる人が皆降りてから乗っていくのが安全で公平なのに、降りる人にぶつかっていくように乗る人がいて苛々する」「でも、知らない人にぶつかっていくような人に「待ちましょう」と言う勇気はない」「だから、そういう人のことを“ただの昆虫”だと思うようにしている」——これらを聞いて、私の両親は「育て方を間違えた」と言った。

ずっと、このことについてぐるぐると考えてきた。「じゃあ皆どうやって折り合いをつけているの」「私は失敗作なの?」と。

倫理観がクソだとSNSに曝すのは勇気がいるが、この本を読んで書こうと決めた。

「いまのあなたは決して「完成形」などではなく、これからのあなたも決して「完成形」などにはならず、あなたはいまのあなたを裏切り続けるのですから、それに翻弄されながら生きることを諦めないでください。」(p.160)

自分は「完成形」ではない。親は育て方を間違えたのかもしれないけれど、今は失敗作かもしれないけれど、変われる。諦めない。

「二月一七日 若い人に向けた「やりたいことを見つけて、自分らしく生きるんだよ」という言葉を含む祝辞を読んだが、若い人が「自分らしく」生きるなんて怠慢でしかなく(言葉が過ぎる?)、自分らしさというのは、人生の苦節、変節を経て宿命のように滲み出るものでしかない。」(p.195)

35歳にもなって「自分らしさってなんだろう」とも迷うけれど。自分に矢印を向けず、ただひたむきに毎日を過ごしていれば自分らしさは後からついてくるのかもしれない。

親としてもおもしろく読めるし、成熟とは何かという意味で全人類がおもしろく読める。どんな人にも響く箇所があると思う。正直、この1冊だけを売る本屋があってもいいくらい良い本です。おすすめ。
(店主コメント)

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